「ブレンド」に隠された二つの意味とは?

「ブレンドコーヒー」の本来の意味、ご存知でしょうか。直訳すると「混ぜる」ですから、違う種類のコーヒー豆を混ぜて楽しむというのが本意、なのです。

ブレンドという豆自体は存在せず、何々と何々のブレンド、というように提供されるのが一般的ですね。モカとジャバ(ジャワ=インドネシア)のブレンドである「モカジャバ」は互いの特性を引き立てた世界中で有名なブレンドです。
ですがモカジャバのように名付けられるブレンドというのは希少です。特徴のわかりやすい二つの豆のブレンドだったのでここまで一般的に広まりました。

「ブレンド」という名前はそれ自体が無限の可能性を秘めながら、とても曖昧で危険な意味も持っているのですね。

 

ブレンドの方法、その種類

ブレンドには二つの方法があります。

「プレミックス」…焙煎前に豆をミックスする方法。大量生産されるブレンド豆はほとんどがこの手法で作られ、世界中に出回っています。ただ豆にはそれぞれ特徴を最も活かす焙煎の度合いが定められているため、品質がばらける恐れはあります。

「アフターミックス」…焙煎後の豆をミックスする方法。プレミックスに比べて手間が掛かる方法ですが、それぞれに合った焙煎を施してからブレンドするので、味の調整もしやすい。ある程度の品質を保つにはこちらが薦められます。

またブレンドには、抽出した後のコーヒーを混ぜて飲むという方法もあります。こちらは完全に現場で行われる作業ですから、家庭やお店で、お好みでする方法ですね。

ブレンドのすすめ

ブレンドにはある程度の予備知識と、どんなコーヒーにしたいかというビジョンが必要になってきます。何となく混ぜたコーヒーは何となくの味にしかならないもので、またそれが美味しかったとしても再現が出来なくては仕方がないですから。

私がブレンドをメーカーで習った際には、まず三種類の豆をブレンドすることを薦められました。二種類だと安易過ぎるし、それ以上多いと複雑だという理由からです。

ブレンドを作る狙い(ビジョン)としては、「特徴」「ボディ」「余韻」この三つを意識したいです。

「特徴」…その名の通り、個性を表わし、それは苦味、甘味、酸味、香りであったりします。

「ボディ」…コーヒーの世界ではよく使われる用語で、豆の大きさなども表しますが、ここではコクや濃さなどをいいます。

「余韻」…上級なコーヒーには欠かせないもの。飲んだ後に口に残る味わいと香りのことです。甘味の強い種類ほど高級ともいわれますが、好みは分かれますね。

豆には種類が多くあり、その味も個性も千差万別ですから、どのコーヒーの特徴を活かしつつ、どのコーヒーのような味わいと香りをもたらしたいのか、狙いをつけることはとっても重要ですね。また種類だけでなく焙煎度も変えられますので、より深い知識と経験がブレンドの生成には欠かせないのです。

例えば苦味の強いブレンドを作りたいと思ったら、酸味の強い品種である「コロンビア」や「モカ」を使わず、焙煎度の強い豆を意識して混ぜてみる、といった具合です。ブレンドによく用いられる品種というのもあって、先ほど挙げたモカやコロンビア、キリマンジャロなどがポピュラーで、スタンダードな味わいの「ブラジル豆」などを用いても嵩増しにしかならないとは言われます。ですが焙煎の度合いも自由ですので、使ってはいけないということもありませんね。
このようにブレンドの世界は無限、宇宙のように広大です。

ブレンドの一例。家庭でも楽しめるコーヒーブレンド

冒頭で「モカジャバ」の例を挙げましたが、これは世界で最も有名なブレンドかもしれませんね。
「モカ」はカフェモカにもその名が使われるように(カフェモカは商品名で、モカの香りに似せるためにチョコレートを加えたコーヒー)、香りの豊かなコーヒー豆です。苦味よりは酸味、そして爽やかな味わいが特徴の人気種です。
対して「ジャバ」は、とても個性的なコーヒーです。香ばしいとも評されますが、香りにも特徴があります。言い方は妙ですが「木」のような香りがします。インドネシアのコーヒー全般にも言えますが、とにかく個性派揃いで、レアで高級な品種も多いです。
ちなみに私は一時期、ジャワをストレートで飲むというのが習慣でした。ミルクを入れてもとても合いますよ。
「モカジャバ」は爽やかな味わいの人気種モカに、ジャバの個性的な香りと味を合わせた、いかにもブレンドのお手本というコーヒーです。

ご自分でモカとジャバを買ってきて合わせるのがもちろん通の楽しみ方です。
また確実な話ではないですが、モカブレンドという商品にもジャバは意識してブレンドされているかもしれませんね。

市販されるブレンドコーヒーとは

コーヒーはとてもポピュラーな飲み物です。どこの自販機にも必ず置いてありますし、インスタントでも安価で手軽に飲むことが出来ます。
ですがコーヒーショップあるいはカフェで薦めるブレンドと、売っているブレンドは似て非なるものであること、ご存知でしょうか。

市販で売られるブレンドには、その名を冠する場合は30%以上を占めていないといけないと法で定められています。「〇〇ブレンド」という商品名のコーヒーが売られている場合、三割以上はその種類の豆でないといけないのですね。

また「コーヒー飲料」という商品がありますが、こちらはコーヒーと違うものです。香料、着色料、そして僅かなコーヒーの生成によって出来ている飲み物ですので、もちろん本物のコーヒーにある香りも余韻もなく、飲んだ後に舌が不自然に茶色くなります。コーヒー自体にも着色効果はあって歯や舌にも多少の色は付着しますが、色で言うと黒に近い茶色なので見分けがつきます。
味は美味しくても、何より香りが再現出来ません。

「ブレンド」という名は現在、商品名にあまりに多用され過ぎてしまい、本来の意味が見失われてしまっているという側面もあるのです。

良いブレンドを見極めるためのコツ

豆を何種類も常備して、ブレンドを家庭でも楽しめたら最高ですが、そうそう簡単なことではありません。古くもなりますし、キャニスターも多く必要になりますし…。
ですが、市販で売っているブレンドでも上手く選べば良品質のものに出会えますよ。

「価格に注意」…ブレンド=安いという認識は非常に危険です。本来はストレートでも飲めるものを合わせて飲むのがブレンドですから、ストレートでの同量の値段を不自然に下回っているブレンド品には注意しましょう。

「高級でない銘柄がオススメ?」…ブルーマウンテンなどの高級品種は、ブレンドであってもかなりの価格でないと採算が取れませんから、ストレートでの相場をチェックしておくことが好ましいです。
例えば400g入りのパックで売られている場合、ブルマンブレンドという名前なら130gほどはブルマンが含まれているはずです。ブルマンの価格は100gで千円代で買えるかどうか、というくらい高価なので…400gのブルマンブレンドは2千円で売られていても品質は微妙かと…。

商品は全てを記載して売られているわけではないので、名称には注意して、出来れば相場も知っておきたいところなのです。

まとめに。ブレンドとブレンドを知ること

ブレンドには二つの意味があります。それはコーヒーが現在これだけ人々から愛飲されるようになったことに起因するのですが、その実、知識も必要とされるようになってしまいました。

様々な種類の個性を合わせ、楽しむ、ブレンドという最上の贅沢。そして「ブレンド」という名称のドリンクや豆が存在することを知っておきたい、そしてより深くコーヒーを楽しんでゆきたいものですね。

yamaguchi

コーヒー好きのライター。UCC発行のペーパードリップ資格保有。