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コーヒー豆をハッキングする

コーヒーの焙煎とは何かゴリラでもあっさり分かるよう解説

1杯のコーヒーができるまでにはいろんな工程があります。まずコーヒー農家がコーヒーチェリーを収穫して、コーヒーチェリーについている外殻を精製で取り除いて、次にそれを焙煎してから挽いて、そこにお湯を注ぐとコーヒーができます。

その数ある工程の中でも”焙煎”はコーヒーの美味しさを左右する極めて重要な作業です。そんな焙煎についてゴリラでもわかるようにまとめました。

目次

1). 焙煎(ロースト)とは何か?
2). 焙煎(ロースト)する上で重要なポイント
3). 自家焙煎(ロースタリーカフェ)でコーヒーを飲むメリット
4). 焙煎直後のコーヒー豆について
5). 焙煎具合について
 -ライトローストの焙煎
 -シナモンローストの焙煎
 -ミディアムロースト(アメリカンロースト)の焙煎
 -ハイローストの焙煎
 -シティローストの焙煎
 -フルシティローストの焙煎
 -フレンチローストの焙煎
 -イタリアンローストの焙煎
6). 深煎りと浅煎りのコーヒー豆はどっちが良いのか
7). 焙煎機について
 -手網の焙煎機
 -手回し焙煎機
 -電動式の焙煎機
 -業務用焙煎機
 -ローリングスマートロースター
8). 焙煎方法について
 -直火式焙煎とは
 -熱風式焙煎とは
 -半熱風式焙煎とは
 -炭焼き式焙煎とは
9). ダブル焙煎とは何か?
10). トレファクトとは何か?
11). 現状の焙煎(ロースト)が抱える問題

焙煎(ロースト)とは何か?

焙煎とはひとことで言うと、コーヒーの生豆を炒てコーヒー豆へと変える加熱する作業のことです。焙煎以外にも「ロースト」や「乾煎り」と言われることもありますが全て同じ意味です。

コーヒーはもともとコーヒーノキという植物の果実である”コーヒーチェリー”から出来ています。コーヒー農家の人たちがコーヒーチェリーを収穫すると、その段階ではコーヒーチェリーの外側に殻がついているので取り外すために”精製”という工程で殻を剥がします。

(参照:Fine Dining Lovers

殻を取り外した後のコーヒーチェリーは”生豆”と言われているのですが、この段階ではまだ緑っぽい色をしています。この生豆のままコーヒーを作っても、味も香ばしさもなくとても飲めたものではありません。

そこでコーヒーの生豆を”焙煎”して炒めます。焙煎することで緑っぽい色だったコーヒー生豆はお馴染みの茶色っぽい色になり、コーヒーが持つ苦味、酸味、甘味、香りなどの風味が生まれます。

そのために焙煎は美味しいコーヒーを飲むために非常に重要なポイントになります。ステーキを焼くときにレア、ミディアム、ウェブダンのどの焼き具合を選択するかで味が変わるように、コーヒーを炒る際にも、どの程度までコーヒー豆を炒るかで味が変わってきます。

焙煎する前のコーヒー豆は果実のように緑色をしている

焙煎(ロースト)する上で重要なポイント

焙煎する上で重要なポイントは均等に焙煎をすることです。焙煎ではコーヒーの生豆に熱を加えてコーヒー豆へと変化させるのですが、基本的には一度に大量のコーヒー豆を焙煎します。業務用の焙煎機であれば何キロも一気に焙煎することになりますし、家庭用の焙煎機であれば250g(よくカフェなどで売っている手のひらより少し大きいくらいのサイズ)くらいをまとめて焙煎します。

コーヒー豆は1粒1粒が小さいので、一度に焙煎する量が多くなると大量のコーヒー豆の粒をまとめて焙煎することになります。その際に、中にはよく炒められているコーヒー豆もあるけど全く炒められていないコーヒー豆もあるという状態では美味しいコーヒーを作ることが出来ません。

そのために、全てのコーヒー豆が満遍なく焙煎する必要があります。普通のよく見るフライパンなどでも焙煎出来ないことはないのですが、この満遍なく炒るというのが普通のフライパンだと難しいので焙煎機という専用の機械を使用した方が美味しいコーヒーが作りやすいです。

また、満遍なく焙煎するためには機械の性能以外にも重要なポイントがあります。それは「ハンドピッキング」という工程です。私たちがコーヒー豆を購入した際にはどのコーヒー豆もだいたい同じ大きさをしています。

しかし、コーヒー生豆を日本へ輸入した段階ではコーヒー生豆が半分に割れていたり、虫食いにあっていたり、場合によっては小石などが混入したりしています。そのような状態にあるコーヒー生豆をまとめて一緒に焙煎してしまうと焙煎にばらつきが出来てしまいます。

また、虫食いにあっていたり腐っていたりするコーヒー生豆のことを”欠点豆”というのですが、この欠点豆が混入した状態で焙煎すると嫌な匂いが焙煎した他のコーヒー豆にもうつってしまうこともあります。そのためにハンドピッキングという作業で余計な混入物を捨てる必要があるのです。

焙煎でどのようにコーヒー豆を炒るかはコーヒーの味を左右する重要なポイントになります。美味しくコーヒーを飲むために焙煎方法には多くの労力が注がれているのです。

ハンドピッキングは地道な作業ではあるがコーヒーの味を左右する重要なプロセスである

自家焙煎(ロースタリーカフェ)でコーヒーを飲むメリット

焙煎をどのタイミングでするかはカフェによって異なります。大手のチェーン店などでは海外にある大型の焙煎所でまとめて焙煎してから日本に輸入することが多いです。一方でカフェによっては焙煎機をカフェ内に持っているカフェもあります。

カフェや喫茶店で焙煎機を保有していてコーヒー生豆を自ら焙煎して提供することを”自家焙煎”、自家焙煎しているカフェのことを”ロースタリーカフェ”と言います。自家焙煎は時間も手間もかかるのですが、わざわざ自家焙煎にこだわるカフェがあるのには理由があります。

美味しいコーヒーには「3たて」が重要という言葉があります。これは、「炒りたて」「挽きたて」「淹れたて」の3つであり、美味しいコーヒーを作るにはこの3つの条件を満たす必要があります。焙煎してから時間が経つにつれてコーヒーは鮮度が落ちていきます。

特に最近ではサードウェーブコーヒー流行の影響もあり、焙煎のタイミングはとても重要になっています。日本に上陸して世間を騒がせているブルーボトルコーヒーも「焙煎してから48時間以内」の鮮度の高いコーヒー豆しか販売していません。

このようにコーヒー豆は焙煎してから時間が経つと味が劣化して美味しくなくなるので、自家焙煎しているロースタリーカフェがその美味しさから人気を得ています。

ブルーボトルコーヒーはその鮮度の高さから日本上陸で大きな反響を読んだ

焙煎直後のコーヒー豆について

焙煎してから時間が経つにつれてコーヒー豆は鮮度が落ちていくのですが、意外にも焙煎して本当にすぐのコーヒー豆は実は逆にあまり美味しくないという意見もあります。コーヒー豆の美味しいさを最大限に引き出せるのは焙煎してから2日〜3日後なのです。

焙煎した直後のコーヒー豆には二酸化炭素などのガスがたくさんたまります。このガスは焙煎してから時間が経つにつれて次第に抜けていきます。たまに販売されているコーヒー豆の袋がパンパンに膨らんでいるものを見ることがありますが、実はこれはこの抜けたガスが袋の中で溢れているために膨らむのであり、鮮度の高いコーヒー豆を使用している証拠にもなります。

焙煎した直後のコーヒー豆にはこのガスがたまっており、この状態でコーヒーを抽出するとお湯がコーヒーの成分を抽出する作業をガスが邪魔してしまい、効率的なコーヒー抽出ができなくなります。そのために焙煎してから2日〜3日ほど少し寝かせてからコーヒー豆を使った方がより美味しくなると言われています。

コーヒー豆は焙煎してから2日目くらいにピークを迎えそこから劣化が始まる

焙煎具合につて

ステーキがレア、ミディアム、ウェルダンと焼き具合を調節することで味に変化をもたらすのと同様に、コーヒーについても炒り具合を調節することで味に変化をもたらすことができます。

焙煎具合は全部で8段階に分けられます。浅く焙煎したものほど酸味が強くさっぱりとしており、深く焙煎したものほど苦味が強くコクがあります。焙煎具合を8段階の中のどれに設定するかで、コーヒーの味、香り、色に大きな変化をもたらします。

ライトローストの焙煎

8つある焙煎具合で最も焙煎具合が少ないのがライトローストです。うっすらと焦げ目がついているくらいの状態であり、黄色っぽい色をしています。コーヒーの香りもあまりせず、コクも強くありません。

酸味が強いのでライトローストのコーヒー豆を販売しているお店はほとんどありませんでした。しかし、サードウェーブコーヒーの影響で浅煎りのコーヒー豆を飲む人が増えると、ライトローストのコーヒー豆を取り扱うお店も増えてきました。

ライトローストのコーヒー豆の味は、苦味がほとんどなく酸味が非常に強い傾向にあります。セカンドウェーブの代表格であるスターバックスは深煎りのコーヒーが主流であり、サードウェーブの代表格であるブルーボトルコーヒーは浅煎りのコーヒーが主流です。そのためにスターバックスのコーヒーは苦く、ブルーボトルのコーヒーはさっぱりと感じます。

ライトローストのコーヒー豆

シナモンローストの焙煎

ライトローストに次いで浅い焙煎具合がシナモンローストです。シナモンのような黄色っぽい色をしていることからシナモンローストという名前がつけられました。

シナモンローストもまだ焙煎具合が浅いのでコーヒー豆を販売しているお店ではあまり見かけません。苦味はほとんどなくて、すっきりとした酸味がシナモンローストの特徴です。

シナモンローストもライトローストと同様にサードウェーブコーヒーの到来によって飲まれる量が飛躍的に増え、今まではほとんど飲まれることがありませんでしたが、最近ではシナモンローストでコーヒーを飲む人が増えています。

シナモンローストのコーヒー豆

ミディアムロースト(アメリカンロースト)の焙煎

ミディアムローストのコーヒー豆は薄い茶色をしています。ミディアムロースト以降から見かけもコーヒー豆っぽい色をし始めます。アメリカンコーヒーという別名も持っており、その名前の通りアメリカンコーヒーを淹れるのに適した焙煎具合です。

ミディアムローストはさっぱりとしており、苦味もほんのりと感じるのが特徴です。日本では中煎りに分類されており、その名前の通り真ん中くらいのバランスのとれた焙煎具合になります。

酸味、苦味、コクの違いがわかりやすい焙煎具合であり、高級なコーヒー豆はミディアムローストで焙煎されることが多いです。逆に言えば品質の低いコーヒー豆はミディアムローストで焙煎するとあまり美味しくありません。

味の違いが分かりやすいので、カッピングテストというコーヒー豆の品質を判断する際にもミディアムローストで焙煎されてチェックされます。焙煎が深すぎるとコーヒー豆本来の味が変化するので品質チェックには向いておらず、焙煎が浅すぎると酸味、苦味、コクの違いが分かりにくいのでミディアムローストが好まれるのです。

ミディアムローストのコーヒー豆

ハイローストの焙煎

ハイローストはミディアムローストよりもやや深く焙煎したものです。色は茶色をしており、バランスがとれた焙煎具合になります。酸味と苦味の調和がとれていることからカフェや自宅で使われているコヒー豆はハイローストのものが多いです。

ハイローストのコーヒー豆は柔らかな口当たりとすっきりとした苦味が特徴です。そのためにクセがなくて万人ウケするタイプであり、とりあえずどの焙煎具合が良いか分からなかったら飲んでおいて間違いない焙煎具合になります。

ハイローストのコーヒー豆

シティローストの焙煎

シティローストはハイローストと同様によく使われる焙煎具合であり標準的です。色は茶色をしており、カフェや自宅で飲むコーヒーにもよく使われています。ただし、ハイローストよりも少し黒色っぽさが入っており、コクも増しています。

シティローストの特徴は何と言ってもバランスの良さであり、酸味と苦味の調和がうまくとれています。北欧や日本で人気の焙煎具合であり、シティローストの”シティ”という名前の由来は”ニューヨークシティ”から来ているそうです。

シティローストまで焙煎具合が進むと爽やかな苦味というよりはコクのある苦味が出始めます。そのために苦味がウリなコーヒー豆はその良さが引き出されます。一方で、風味がしっかりとしていない品質の低いコーヒー豆を使うと味を損なう危険もあります。

そのために、シティローストは良くも悪くもコーヒー豆次第で美味しくもマズくもなるので、コーヒー豆の品質に気をつける必要があります。

シティローストのコーヒー豆

フルシティローストの焙煎

フルシティローストはやや深煎りのコーヒー豆になります。黒茶色っぽい色をしており、アイスコーヒーやエスプレッソ用のコーヒー豆としてもよく使われています。フルシティローストという名前の通り、シティローストを更に深く焙煎したものになります。

酸味は少なくなり苦味とコクが引き出されますので、コーヒーの苦味が好きな人にとってはフルシティローストはおすすめな焙煎具合になります。フルシティローストにはいわゆる”コーヒーの香り”が強調されるので、芳ばしい香りを楽しむこともできます。

フルシティローストのコーヒー豆

フレンチローストの焙煎

フレンチローストは黒っぽい色をしており、深煎りの焙煎に分類されます。フルシティローストと同様にエスプレッソやアイスコーヒーに向いているコーヒー豆でもありますが、ストレートコーヒーで飲んでも美味しいです。

苦味がかなり強くコク深い味がして酸味はほとんど感じられないのがフレンチローストの特徴になります。強い苦味と独特の香りが楽しめることから、カフェオレやウィンナーコーヒーなど欧州でよく飲まれるアレンジコーヒーにも使いやすいです。

ここまで焙煎具合を深くするとコーヒー豆の内部から表面に油分が出てくるので、挽く前のコーヒー豆がテカテカしています。

フレンチローストのコーヒー豆

イタリアンローストの焙煎

イタリアンローストは最も深い焙煎具合になります。色は黒色に近くぱっと見だと焦げているような印象も持ちます。苦味が強烈でありコクもかなりあり、酸味はほとんど感じることがないのがイタリアンローストの特徴です。

ここまで苦味が強いとブラックコーヒーでは飲めずにミルクや砂糖を入れる人も多いですが、コク深い苦味のあるコーヒーが好きな人はイタリアンローストをブラックで飲みます。他の焙煎具合では感じることのなかったスモーキーさ(煙臭さ)を楽しむこともできます。

イタリアンローストのコーヒー豆

深煎りと浅煎りのコーヒー豆はどっちが良いのか

コーヒーの焙煎具合は8つの段階に分けることができ、その中でじっくりと焙煎したものを深煎りのコーヒー豆といい、さっくりと焙煎したものを浅煎りのコーヒー豆といいます。

具体的にはライトローストやシナモンローストは浅煎りで、フレンチローストやイタリアンローストは深煎りです。その中間の焙煎具合であるミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティローストは中煎りなどと言われますがケースバイケースで浅煎りに属されたり深煎りに属されたりもします。

実際に何を浅煎りと言って何を深煎りと言うのかは統一されておらず、国やカフェによってもまちまちです。しかし、深煎りのコーヒー豆か浅煎りのコーヒー豆かによってコーヒー豆の特徴が大きく変わってきます。

酸味や苦味が焙煎具合で異なる

深煎りか浅煎りかによって、コーヒーの味を大きく左右する酸味や苦味が変わってきます。深煎りのコーヒー豆は酸味があまりなくて苦味が強いです。一方で浅煎りのコーヒー豆は酸味が強くて苦味はあまりないです。

コーヒー豆はもともとはコーヒーノキから収穫される果実なので、浅煎りであるほど果実の成分が残っており酸味が強くなると言われています。深煎りにすればその分コーヒー豆が”焦げる”ので苦くなるのは理にかなっています。また、酸味や苦味以外にも、コーヒーを楽しむ上で欠かせない香りも焙煎具合に応じて変化します。

コーヒーの油分が焙煎具合で異なる

深煎りか浅煎りかによってコーヒー豆の表面に出てくる油分も異なってきます。深煎りのコーヒー豆は表面に油分が出てギラギラとしているのに対して、浅煎りのコーヒー豆は表面に油分がほとんど見られません。

これは焙煎を進めるにつれてコーヒー豆の内部にある油分が表面に滲み出てくるためです。決してコーヒー豆の品質が悪かったりするわけではありません。

お湯を注いだ際の膨らみが焙煎具合で異なる

深煎りか浅煎りかによってお湯を注いだ際にどれだけコーヒーの粉が膨らむかが変わってきます。深煎りのコーヒー豆ほど大きく膨らみ、浅煎りのコーヒー豆はそこまで膨らみません。コーヒーの粉が膨らむかどうかは鮮度によって変わりますが、焙煎具合によっても変わるのです。

深煎りのコーヒー豆は組織が拡大してサクサクしており、組織の隙間に多くのガスを内包します。そのためにお湯を注いだ際にガスが放出されてコーヒーの粉が大きく膨らみます。

一方で浅煎りのコーヒー豆は組織がそこまで拡大しておらず、ぎゅっと詰まっています。そのために内包されるガスの量が少なくてお湯を注いでもそこまでコーヒーの粉が膨らみません。

クロロゲン酸の量が焙煎具合で異なる

コーヒーの成分としてカフェインが含まれていることは有名ですが、カフェインに並んでコーヒーの重要な成分と言われているのがクロロゲン酸です。このクロロゲン酸には健康に良い効果・効能があり、具体的にはダイエット効果やアンチエイジング効果があります。

そのために健康や美容の目的も兼ねてコーヒーを飲んでいる人は深煎りのコーヒー豆ではなくて浅煎りのコーヒー豆を飲んだ方が良いでしょう。

ポリフェノールの量が焙煎具合で異なる

クロロゲン酸に次いでコーヒーの成分としてポリフェノールが注目されています。ポリフェノールにもアンチエイジング効果などの健康や美容に良い効果・効能があります。そして焙煎具合が進むにつれてポリフェノールの量も減少してしまします。

そのために、ポリフェノールを多く摂取したい場合には浅煎りのコーヒー豆を活用して、深煎りのコーヒー豆は控えた方が良いでしょう。

カフェインの量は焙煎具合を変えても同じ

クロロゲン酸やポリフェノールの量は焙煎具合が進むにつれて減少しますが、カフェインの量については焙煎具合を変えてもほとんど変わりません。多少の変動はあるのですが、そもそもカフェインは焙煎してもほとんど無くならず、コーヒー豆の状態でも抽出した後のコーヒーの状態でもほぼ同じカフェインが含まれています。

焙煎機について

コーヒーメーカーにはいろんな種類があるように焙煎機にはいくつもの種類があります。コーヒー生豆を焙煎するコツは満遍なく均等に炒ることであり、そのためには焙煎機を活用する必要があります。

手網の焙煎機


コーヒーを自宅で焙煎しようと思った際に最も手軽にできるのが手網の焙煎機を使った焙煎です。焙煎機というよりもフライパンを改造したようなものであり値段も2,000円前後と安く誰でも手取り早く焙煎をすることができます。

手網については銀杏や大豆を炒るにたようなものがあればそれでも代用することができます。手網の焙煎機を使ってコーヒー生豆を焙煎しようと思った際に必要にある材料は下記のリストに載っているものです。

・コーヒーの生豆180g〜230g
・焙煎用の手網
・ドライヤー
・軍手
・ガスコンロ
・ザル

手網の焙煎機を使ってコーヒー生豆を炒るにははっきり言って手間がかかるので根気が必要です。手軽に始められる代わりに、焙煎する作業はかなり労力を要するのです。具体的な焙煎方法については下記の通りです。

1. コーヒー生豆をお湯でゆすぐ

まずはじめにコーヒー生豆を温かいお湯で1分くらいゆすいで洗います。お湯でゆすいでコーヒー生豆の薄皮(チャフ)を取ります。薄皮は焙煎の過程で自然に取れるので事前にとる必要はないのですが、薄皮を事前にある程度とっておくことで、キッチンの掃除が後々かなり楽になります。

2. コーヒー生豆を手網に入れる

コーヒー生豆を手網の中に入れます。焙煎の途中で手網からコーヒー豆が飛び出さないように、左右をクリップで止めておきます。

3. コーヒー豆を火にかける

コーヒー豆を高さ10cm〜15cmくらいのところで強火であぶります。高さ10cm〜15cmくらいのところで手に持ってあぶるので、火にかけるというよりは熱で温めるという表現の方が正しいかもしれません。

焼きにムラができないように手網を揺らし続けます。はじめは結構重いのですが、3分間ほどすると水分が抜けてくるので軽くなってきます。コーヒー豆の色も少しずつ色付いてきます。そのまま揺らし続けると、次第に薄皮が取れてきます。

4. 1ハゼの発生

火であぶり始めてから10分ちょっと経つと、パチパチといういかにも炒ているような音が聞こえてきます。これを”ハゼ”というのですが、焙煎ではこのハゼのタイミングによって焙煎具合をコントロールします。

ちょうど一回目のパチパチという音が鳴り終わったら中煎りくらいのコーヒー豆が出来上がります。中煎りのコーヒー豆を飲みたい場合には1回目のハゼが終わった段階で完成です。

5. 2ハゼの発生

1回目のハゼが終わってしばらくすると、再びパチパチという音がしてきます。これが2回目のハゼであり、コーヒーの芳ばしい香りがしてきて煙も出てきます。2ハゼが終わった段階ではやや深煎りになりつつあります。

そこからはコーヒー豆の色を見ながら、好みの焙煎具合になったら火であぶるのをやめて手網を下ろしてください。

6. すぐに冷ます

コーヒー豆の焙煎が終わったらすぐに冷ます必要があります。これはコーヒー豆に残っている余熱で放っておくと更に焙煎が進んでしまうからです。そのために、手網に入っているコーヒー豆をすぐに別の網に移して、ドライヤーの冷風で冷やします。

7. ハンドピック

手で触っても問題ないくらい冷めてきたら、欠けているコーヒー豆や焼けていないコーヒー豆を手で取り除きます。このハンドピックという作業をすることで美味しいコーヒー豆が完成します。

手回し焙煎機


コーヒーを自家焙煎する際に、手網の次に手軽なのがこの手回し焙煎機です。筒状のケースにコーヒー生豆を入れて、コンロの火にかざしながら手回しで筒を動かして満遍なく焙煎します。値段は4万円くらいしますが、手網よりも格段に焙煎しやすくなります。

手回しで焙煎する際に必要な材料は以下の通りです。

・コーヒー生豆
・手回し焙煎機
・ドライヤー
・軍手
・ガスコンロ
・ザル
・カセットコンロ

手回し焙煎機の使い方は手網の焙煎機に比べるとかなり簡単です。手回し焙煎機を使った具体的な焙煎方法は下記の通りになります。

1. 筒状のケースにコーヒー生豆を入れる

筒状のケースになっている部分にコーヒー生豆を入れます。

2. 手回し焙煎機を火であぶる

次に手回し焙煎機をコンロの上に乗せて火であぶります。

3. ハンドルを回す

火であぶっている間に横についているハンドルでぐるぐる回します。メーカーによって回すスピードは変わるのですが、目安は1分間に30回〜40回くらいです。実際にはやってみないと分からないこともあるので、回すスピードについてはいろいろと試してみて、自分の一番好きな焙煎具合を見つけるのが良いです。

4. コーヒー豆を冷却する

焙煎が終わったらコーヒー豆をザルに移して、ドライヤーの冷風などで冷やします。手で触れるくらいまで冷めたら完成です。

電動式の焙煎機


これは先ほどの手回し焙煎機を自動で回るようにしたもので、4万〜7万円ほどするものが多いです。しかし、中には電子レンジのような形でコーヒー生豆を入れて扉を閉めたらあとはボタンを押して焙煎が完成するものもあります。最近では焙煎するための技術も向上しており、ボタンひとつで満遍なく焙煎できるものも出てきています。

業務用焙煎機


家庭で自家焙煎するためには電動式や手回し式の焙煎機を使うことが多いですが、カフェで大量のコーヒー豆を焙煎する必要がある場合には家庭用の焙煎機では限界があります。

そのために業務用焙煎機というものがあります。小型業務用焙煎機や大型業務焙煎機など規模に応じてサイズを選ぶことができ、大型のものは設置するのに工事が必要になるものもあります。

ローリングスマートロースター


コーヒー焙煎機はいろんなメーカーによって作られていますが、最近大きな注目を集めているのがローリングスマートロースターです。この焙煎機は最新技術を搭載しており、スペシャルティコーヒーに求められる浅煎りの焙煎をすることに最適です。

コーヒーのさっぱりとした酸味や香りなどを引き立てることに長けています。スペシャルティコーヒーはコーヒー豆そのものの個性を最大限に引き出すことが重要ですが、その点でまさに ローリングスマートロースターは最適なのです。

サードウェーブコーヒーの代表格であるブルーボトルコーヒーもこの焙煎機を活用していることで知られています。他にも多くの会社がこの焙煎機を活用しています。

焙煎方法について

焙煎方法にはいくつかの種類があり、どの焙煎方法をするかによってコーヒーの味も変わってきます。具体的には直火式・熱風式・半熱風式・炭焼き式などがあります。

直火式焙煎とは

直火式焙煎とはその名前の通り、コーヒー生豆を直接火で炒ることで焙煎します。直火式焙煎は手網で焙煎したり、回転式のドラムにコーヒー生豆を入れて外から熱を加えて焙煎したりします。

直火式焙煎のメリットとデメリットは下記の通りになります。

メリット
・コーヒー豆の持っている香り、コク、甘みを引き出すことができる
・コーヒー豆の個性を引き出すことができる
・浅い焙煎でもコーヒー生豆の中まで焙煎できる

 

デメリット
・焙煎するのが難しく熟練した技術が必要である
・まとめて焙煎できる量が限られている
・焙煎にかかる時間が長い

このように直火式焙煎は手間はかかるもののコーヒー豆の個性を引き出すことができます。最近では直接火が当たらないようにドラムを火から遠ざけて設置するタイプのものもあります。

熱風式焙煎とは

熱風式焙煎とはその名前の通りなのですが、直接火であぶらずに高温の熱風をドラム内に吹き込んで焙煎する方法です。大量生産で焙煎することが可能なので、チェーン店などの大型焙煎所などでは熱風式で焙煎されることが多いです。

熱風式焙煎のメリットとデメリットは下記の通りになります。

メリット
・コーヒー豆がムラなく均一に焙煎できる
・大量のコーヒー豆をまとめて焙煎できる
・短時間で焙煎できる
・安定した上品なコーヒーの味を引き出す

 

デメリット
・コーヒー豆の個性を引き出すことが難しくてどれも同じ味になる
・浅い焙煎だとコーヒー豆の中まで焙煎することが難しい

熱風式焙煎機のタイプはいろんなタイプがあります。横置きのものもあれば縦置きのものもあり、一度輩出した熱風を内部で循環させて再利用するタイプもあれば、長時間かけて焙煎するタイプのものもあります。

このように熱風式焙煎は自由度が高いので焙煎する人のやりたい方法でアレンジして焙煎することができます。また、直火式焙煎に比べるとあっさりとした味わいになることからスペシャルティコーヒーでもよく使われています。

半熱風式焙煎とは

直火式焙煎と熱風式焙煎がオーソドックスですがその他にもいくつかの焙煎方法があり、半熱風式焙煎はその中の1つです。焙煎機の構造自体は直火式焙煎に似ているのですが、半熱風式では回転ドラムに穴が空いておらず鉄板になっています。

そのために火が直接的にコーヒー豆に触れることはないのですが、鉄板が熱されることによってコーヒー豆が焙煎されます。また、熱風式焙煎と同様に熱風も送り込まれるので、鉄板と熱風のダブルの焙煎になります。

炭焼き式焙煎とは

直火式焙煎、熱風式焙煎、半熱風式焙煎とは少しタイプが異なるのですが、炭焼き式焙煎というものもあります。炭焼き式焙煎とはその名前の通りなのですが、炭火を使ってコーヒー豆を焙煎します。

炭火焼きした焼肉が美味しいのと同じ理論で炭火焼きしたコーヒー豆も美味しいだろうという考えです。実際に炭火を活用した焙煎は赤外線が多く温度変化の上下差が少なく安定しています。

実際に街中のカフェには”炭焼きコーヒー”をウリにしているところもあり、炭焼き式焙煎を好む人も一部いるようです。

ダブル焙煎とは何か?

基本的に焙煎は1回で終わらせるのですが、中にはダブル焙煎といって2回焙煎を行うこともあります。ダブル焙煎を行う場合には、まず1回目の焙煎では水分を飛ばしながら浅煎りで焙煎します。

焙煎が終わったらコーヒー豆をいったん冷まします。冷まし終わったらそのコーヒー豆を再度焙煎機に入れて、好みの焙煎具合になるまで焙煎したら完成です。

ダブル焙煎を行うことでコーヒー豆にしっかりと火が通り、均一に焙煎することができます。一方で当然2回も焙煎するので手間がかかり、焙煎し過ぎて焦げてしまうかもしれないというデメリットもあります。

ダブル焙煎をするのに特に適しているコーヒー豆はニュークロップをブレンドする時です。ニュークロップとは収穫してから半年以内のコーヒー豆のことを指しますが、収穫したばかりなので水分を多く含んでいます。

ストレートでニュークロップを焙煎する際には1回の焙煎で良いのですが、他のコーヒー豆とブレンドする際にはダブル焙煎をして水分量を調節することがあります。

またニュークロップでなくても、焙煎に失敗して焼きにムラができてしまったコーヒー豆についてもダブル焙煎をすることで均一に焙煎し直すことができます。

トレファクトとは何か?

コーヒー豆を焙煎する際には基本的にコーヒー生豆のみを入れて焙煎を開始します。しかし、焙煎する段階でコーヒー生豆と一緒に調味料を入れる方法があり、その中でも砂糖とコーヒー生豆を一緒にドラムに入れて焙煎する方法をトレファクトと言います。

一般的にトレファクトされるコーヒー生豆は安物であることが多く、砂糖を一緒に入れることでコーヒー豆にコクを出して苦味を強調させることもできます。トレファクトはスペインで伝統的に使われている焙煎方法です。

他にもマレーシアにあるホワイトコーヒーは砂糖、マーガリン、小麦をコーヒー生豆と一緒に入れて焙煎するものであり、トレファクト以外にもコーヒー生豆に調味料を入れてから焙煎する方法はいくつか存在します。

ただし、どの焙煎も品質の低いコーヒー生豆が使用されることも多く、それを”ごまかす”ために他の調味料を入れていることが多いです。

現状の焙煎(ロースト)が抱える問題

美味しいコーヒーを飲むためには適切な”焙煎”をすることが極めて重要です。しかし、現在のコーヒー業界は焙煎という過程に大きな問題を抱えています。

美味しいコーヒーを飲むために、どこの生産国で作られたコーヒー豆か気にする人は結構います。実際に”ブルーマウンテン”や”ゲイシャ”などのコーヒー豆は日本でもブランドとして確立されています。

コーヒーの淹れ方についても最近では美味しいコーヒーを淹れる方法や道具が普及しており、一般的な家庭でも手の凝った方法でコーヒーが抽出されています。

しかし、コーヒー豆の焙煎についてはまだまだ多くの課題を抱えています。コーヒー豆は鮮度が命であり、焙煎してから時間が経つにつれて段々と美味しくなくなってきます。

最近では自家焙煎のカフェも増えてきており、焙煎してから時間の経っていなくて鮮度の高いコーヒー豆を提供しているカフェも多く存在しています。

しかし、家庭で飲むコーヒーについては焙煎に対する意識が低く、チェーン店のカフェで販売されている焙煎されてから何ヶ月も経っているようなコーヒー豆が依然として使われています。

今後より美味しいコーヒーを家庭で飲むためにはこの”焙煎のタイミング”という部分が極めて重要になってくるのではないかと思います。

 
 

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