毎週のようにメニューが変わり新鮮な豆だけが並ぶカフェ。表参道「THE ROASTERY by NOZY COFFEE」

歩いて角を曲がればカフェ。その角を曲がるとまたカフェ。と思えば、振り返った先にもカフェ。初めて原宿のキャットストリートを訪れると、散策すればするほど見たこともないカフェが見つかります。ただ、はじめて訪れる時は、どこに行けば良いのか、首をかしげてしまいます。
そのキャットストリートでも、あなたが今までに飲んだことのほどおいしく、今までのコーヒーのイメージを壊してくれるコーヒーに出会いたいなら、オススメできるカフェがあります。シングルオリジンという辞書の説明に載っていてもおかしくないお店、「THE ROASTERY by NOZY COFFEE」です。
Shop Data
店名 THE ROASTERY by NOZY COFFEE
住所 東京都渋谷区 神宮前5丁目17−13
営業時間 Mon-Sat 10:00~22:00、Sun 10:00~21:00
定休日 不定休
その他 コーヒーの価格帯:480円~1800円(1杯)

1種類のコーヒーもメニューにとどまらない。季節が運ぶシングルオリジンと出会う。

地球の裏側の小さなコーヒー農家を直接訪ね、その農場の季節の豆を仕入れて毎日焙煎する、シングルオリジンコーヒーのガイド役のようなこのお店は、休日は人でごった返すキャットストリートのメインストリート、ラルフローレンの隣に立っています。ラルフローレンのお客さんも、まさか隣の店で、何キロもの豆がゴンゴン音を立てて焙煎されているとは思っていないでしょう。

一歩お店に入ると、モダンなバーに入ったのかと錯覚するほどおしゃれな雰囲気ですが、奥では、月曜日から金曜日まで、焙煎士の方が真剣に焙煎をしているのを見ることができます。レジの前にはおいしそうなペストリーが並び、コーヒーのメニューを見ると、ESPRESSO、AMERICANO、CAFE LATTE、HAND BREW4つのみ。HAND BREW(ハンドドリップ)を選び、お金を払うと、奥のハンドドリップコーナーで、いくつもの豆の中から好きな豆を選びます。

レジの前に並ぶペストリー

焙煎機のすぐ前に設置されたハンドドリップのコーナーには、この季節にしか見つからないコーヒー豆がずらりと並びます。バリスタさんと相談しながら、好きな豆を選んでドリップをしてもらえるシステムです。

お店に並ぶコーヒーの種類は、毎週のように変わり、メニューに留まるコーヒーは、なんと1つもないとのこと季節によって旬が変わるコーヒー豆を、お店では新鮮な内に飲める分だけ仕入れ、くなれば、次の季節の種類の違うコーヒーをまた仕入れ、お客さんに提供します。訪れるたびに出会えるコーヒーも違うので、まさに一期一会

季節によって豆が多少変わるというのは、他のお店でもあることですが、「THE ROASTERY」のようにメニューに載るコーヒーが1つ残らず入れ替わり、季節の新鮮な豆しかお店に並ばないのはとても珍しいことです。

お客さんの目の前でその豆について教えてくれながらコーヒーを淹れてくれるバリスタさん

1年間で何十種類も変わるコーヒー豆たちは、香りも味も全く違うので、それぞれの豆に合った抽出法をそのたびに検証して変えていくそうです。焙煎士さん、バリスタさん、一人一人が、頼まれた豆に応じて少し淹れ方や焙煎の方法を調整されているので、その豆はどんな風に淹れ方が違うのかを聞いてみるのも楽しいです。

味を目で理解できる、果実とスパイスのイメージボード

ここまでの話を聞いて、ひょっとして、昔ながらの喫茶店のような、少し敷居の高い雰囲気を想像されるかもしれませんが、ご心配なく。内装はお洒落なバーのようなのに、隣の家で焼いた豆を、おすそ分けしてもらって、おいしく飲むような親密さがあります。ビールも飲めますし、おいしいソフトクリームもあります。飲み方も、楽しみ方も、苦すぎるときも、すぐそばで、どうしたらいいかバリスタさんがそっとアドバイスをくれます。

それぞれの豆の前に、チョコレートやスパイス、リンゴやマスカットの写真が並び、どんな味がするコーヒーか簡単に想像することができます。この写真を見ながら、バリスタさんと話しながらどのコーヒーを淹れてもらうか決めるのもオススメです。

月曜日から金曜日まで毎日音を立てる焙煎機

際立った甘みとやわらかい口当たりで、お客さんと豆を繋げるHAND BREW

Coffee Data

コーヒーの名前

HAND BREW

豆の種類

LA LIA, Costa Rica(ホワイトハニー)

レシピ

水280mlに対し豆18~20gを2分~2分20秒で淹れる。 (その内、蒸らし時間は50秒)

近い味のコーヒーを購入する
ボディ
甘味
苦味
酸味
「LA LIA」は、豆を育てた農園の方が、自分のお母さんの名前を付けて作ったコーヒー豆です。母の日の季節に合わせて、提供している豆とのこと。
口に入れた瞬間、コーヒーオイルがぱっと舌にかかり、それから次々やってくる味を包み込んでくれます。最初にじわじわと顔を出したコーヒーの甘みは、続いてやって来る果実味に合わせて、だんだん力強さを増していきます。果実味が、ささやかな酸味に変わるころには、甘みは口中一杯に広がっています。喉の奥で、さらさらと、コクが強いカカオの粉末の様なコーヒーオイルが落ちていき、飲み終わった後にも口いっぱいにコーヒーの風味が残ります。

「豆に負担をかけたくないから。」中煎りばかりが並ぶ理由。

「THE ROASTERY」では、紙のドリッパーは使いません。コーヒーのえぐみや雑味をとってくれる紙のドリッパーですが、コーヒーオイルや豆の良さもとってしまうため、フレンチプレスや、金属のドリッパーで抽出されます。口の中で、採れたばかりのコーヒーの豆や果実を転がすかのような、コーヒーの良さも悪さもみんな伝えてくれる淹れ方です。
「THE ROASTERY」では、ドリッパーの種類だけではなく、煎り加減にもこだわりがあります。このお店では、中煎りの豆が多いのですが、その理由を焙煎士さんに聞くと、次のように答えてくれました。
———-引用始め———–
深煎りでは豆に負担がかかり、浅煎りでは、個性が味に乗り切らない。あまり強い火で炒らない中煎りが、豆に余計な負担がかからず、飲む側も邪魔なく、その豆のことを知ることができす。甘みと、やわらかい口当たりの良さで、飲む人が親しみを持てる入り口を用意するのが、豆にとっても大事なことです。
———–引用終わり———-
世界中から運ばれたコーヒーの個性が、すぐに人に出会えるように、原宿にお店をつくる。淹れ方も、一番自然に豆のことが分かる淹れ方で淹れる。コーヒーとお客さんの繋ぎ役としてのシングルオリジンコーヒーの役割を、舌で感じられるお店です。

吉田 祥平

フリーランスのライター・フォトグラファー。西ミシガン大学にてジャマイカブルーマウンテンのコーヒー農業を研究。東北復興を行うNGOのスタッフや内閣府のアメリカにおける使節団のコーディネートの他、東京・横浜の公的機関にて海外企業の支援を行うなど幅広い経験を持つ。