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コーヒー豆をハッキングする

モカマタリなどイエメン産コーヒーの特徴-モカ港は全ての始まり

昔アメリカのデトロイトに住んでいたことがあったのですが、その時にイエメン人の友達ができました。日本のアニメがすごい好きで、無駄に日本語をうまくしゃべれていて驚きました。

イエメンはアラブの国の1つです。アラブと聞くとテロなどを連想して怖いイメージを抱く人も多いかもしれませんが、実際にアラブ人に会ってみると、すごい人懐こくていい奴ばかりなんだなと思う人も多いと思います。ある意味日本人よりも礼儀正しいとも思います。今回はそんなアラブのイエメンのコーヒーについて書いていこうと思います。

参照記事
モカシダモなどエチオピア産コーヒー豆の特徴-コーヒー発祥の地

目次

1). そもそもイエメンとはどんな国か
2). イエメン産コーヒーの歴史
3). イエメン産コーヒーの栽培方法
4). バラツキが多いイエメン産コーヒー
5). モカ・マタリを始めとしたイエメン産コーヒーの味
6). モカ・マタリとは何者なのか

そもそもイエメンとはどんな国か

イエメンはアラビア半とうの南西部に位置しており、面積は日本の1.5倍くらいと割と大きい国です。しかし人口は約2,000万人くらいであり、日本に比べるとかなり少ないです。コーヒー豆の発祥の地であるエチオピアの隣国です。

エチオピアの有名なコーヒーで「モカ・シダモ」というものがありますが、この名前の最初についているモカは、イエメンの港であるモカ港に由来しています。イエメンのコーヒーも同じ港から輸出されていたので、「モカ・マタリ」と呼ばれています。違う国なのに名前が似ていて紛らわしいですね(笑)

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イエメンはヨーロッパとアジアをつなぐ要所に位置しています。その影響からか、歴史的にはオスマントルコの支配を受けたり、イギリスの支配を受けたりなどしています。イエメン内で南北に分裂していたこともあったのですが、1990年に南北に分かれていたイエメンが統一されて現在のイエメンになりました。

イエメンもエチオピアと同様に経済的には貧しい国であり、石油や天然ガスを除けばコーヒーが輸出において重要な農産物になっています。アメリカのデトロイトで出会ったイエメン人の友達も、イエメンに戻ってもろくな仕事がないからアメリカで働きたいと言っていました。

参照記事
カスカラコーヒーやカスカララテという豆殻かすを活用した飲み物

イエメン産コーヒーの歴史

コーヒー発祥の地はエチオピアでヤギが発見したという説が有力ですが、一部の人は実はイエメンがコーヒー発祥の地なのではないかと主張しています。イエメンがコーヒー発祥の地と考える人たちは、ある日イエメンの僧侶が小鳥がコーヒーチェリーをついばんでいたのを発見して、それがコーヒーの起源と主張しています。

コーヒー発祥の地はどちらが正しいのかはわかりませんが、確かなことは1454年にイスラム教の宗教学者であるザブハニーという人がコーヒーを一般の人に公開したことで、コーヒーはイエメンを中心としたイスラム教県内で広がりました。

それがオスマン・トルコやアレキサンドリアなどを通してキリスト教の世界にも広がって行き、これが世界でコーヒーが飲まれるようになった始まりでした。その後1600年だいになると、イエメンにあるモカ港からオランダ人がコーヒーを買って輸入するようになっていきました。

現在広く使われている “モカ”という名前はモカ港から由来し、“アラビカ種”という名前はアラビア半とうから由来しています。コーヒーが世界中で飲まれるきっかけとなったのはまさにこの瞬間からだったのです。

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その後、ヨーロッパ各国にカフェが出来るととてもイエメンだけではコーヒー豆の供給が追いつかなくなっていきました。そこで隣国のエチオピアでもコーヒー豆が生産されるようになり、イエメンのモカ港を通してヨーロッパ各国へと輸出されるようになりました。これがエチオピア産のコーヒーが今でも「モカ・シダモ」などと呼ばれる理由です。

しかし、コーヒーが爆発的に世界でヒットされるようになると、とてもイエメンとエチオピアだけでは供給できなくなっていきました。そこで1700年代にはインドネシアなどでもコーヒー農場が作られ、インドネシアからコーヒー豆が輸出されるようになりました。

もともとイエメンのモカ港はコーヒーで栄えていましたが、次第に他のコーヒー生産国にその地位を奪われるようになり、モカ港はコーヒーを世界に輸出するための重要な拠点としての機能を失うことになりました。

参照記事
ベトナム産コーヒー豆の特徴-ロブスタ種最大の生産地

イエメン産コーヒーの栽培方法

イエメン産コーヒー豆の90%以上は、イエメンの西部を南北に走る高地で生産されています。標高は1,000m~2,000mの山岳地帯で、段々畑のように生産されています。イエメンの平野は降水量が少なくてコーヒー豆の栽培に適していません。

しかし、高地では南北に走る山脈が湿度の高い風をさえぎり、山脈の裾野に雨を発生させることができます。そのためにイエメンのコーヒー農家は急な山脈の斜面に段々畑を作り上げてまでコーヒー豆の栽培を行っているのです。これがイエメン独特なコーヒーの味を作り出しています。

また、標高の高い地域でコーヒー豆の栽培を行っているので、もともとは赤道付近で温度が高いイエメンですが、高地では快適な温度でコーヒー豆を栽培することができます。また昼夜の温度差も激しくなり、コーヒー豆の品質を向上させることができます。

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バラツキが多いイエメン産コーヒー

イエメンのコーヒー生産は山岳地帯で段々畑のような形で行われています。そのために機械でコーヒー豆を収穫することができず、人間の手によって1つ1つ収穫されます。

収穫されたコーヒー豆は天日乾燥させた後に、脱穀で果肉部分を取り除きます。他のコーヒー生産国では水洗式など他の方法がとられていることが多いですが、イエメンでは昔からこの方法で伝統的に加工されています。

これがイエメン産コーヒー豆独特の味を作り出しています。しかし一方で、この加工方法の影響もあってイエメン産のコーヒー豆は品質がバラバラであることが多いです。政治的な情勢が安定しない中で小規模農家がコーヒー豆を生産するとなると、どうしても一定の品質を維持することが困難なのです。

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また、イエメンで作られるコーヒーの問題点として、流通システムや製造プロセスを改善するシステムなどが国単位で整備されていないことが挙げられます。グアテマラなど有名なコーヒー生産国では、国単位でコーヒーの研究所や組合のようなものを作って、コーヒーの品質を全体的に底上げすることが良くあります。

参照記事
アンティグアなどグアテマラ産コーヒー豆の特徴について

しかし、イエメン産コーヒーにはこのような国単位でコーヒー業界を支えるシステムが未だに整備されておらず、生産されたコーヒー豆に欠点豆が混入してしまう傾向にあります。

そのために、イエメン産コーヒーを飲む場合には、コーヒー豆を挽く前の段階にハンドピックで欠点豆を取り除く必要があります。場合によっては30%近くのコーヒー豆が欠点豆であることもあり、コーヒーを抽出するまでにかなりの手間がかかってしまいます。

そんなイエメン産コーヒー豆ですが、輸出国としてはサウジアラビアが最も多く、アメリカと日本がそれに続いています。逆にヨーロッパではかつては輸入に頼っていたものの、現在はほとんど流通していません。

モカ・マタリを始めとしたイエメン産コーヒー豆の味

イエメン産コーヒー豆の味をひとことで言うと、独特な強い酸味とフルーティーな香りが特長的です。どこか独特ではあるのですが、さっぱりとしたい気分の時などに適切です。

生産方法も加工方法も他のコーヒー豆とは少し環境が違うために、良い意味で“とんがった”独特なコーヒーの味がします。ただし欠点豆も多く品質が安定しないので、常に同じ感じの味を楽しめるというわけでもありません。それがまた面白いですね。

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参照記事
コスタリカ産コーヒー豆の特徴-アラビカ種以外は禁止

モカ・マタリとは何者なのか

イエメン産のコーヒーと言えば間違いなく「モカ・マタリ」です。“モカ”はかつてモカ港から出荷されていたことに由来します。イエメン西部のバニー・マタルで生産されており、世界的にも優良なコーヒー豆として知られています。

イエメン産コーヒーの等級は「PURE 9」というように決められます。PURE 9〜PURE 1まであり、数字が大きい方が欠点豆の混入がなく、高品質なコーヒー豆となります。呼び方としては銘柄とくっつけて「イエメン モカ・マタリ PURE9」などというふうに呼ばれます。モカ・マタリの中でも、手作業で大きいコーヒー豆のみ選ばれたものは「アールマッカ」と呼ばれています。
 
 

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