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コーヒー豆をハッキングする

ゲイシャなどパナマ産コーヒー豆の特徴

「ゲイシャ」という単語を聞いて、普通の人は京都などにいそうな“芸者さん”を想像する人が多いかと思います。しかし、コーヒー業界では「ゲイシャ」という種類のパナマ産コーヒーが近年は流行っており、世界的なブームになっています。

日本でもスタバがゲイシャのコーヒーを1杯2,000円で販売したことで、なんとなくゲイシャというコーヒー聞いたことがある人もけっこういるのではないかと思います。今回はそんなゲイシャとその生産国であるパナマのコーヒーについて書いていこうと思います。

目次

1). そもそもパナマとはどんな国か
2). パナマ産コーヒーの栽培方法
3). ゲイシャ種とは何か
4). パナマ産コーヒーの味と等級

そもそもパナマとはどんな国か

パナマは中央アメリカの南側に位置しています。中央アメリカはグアテマラ、ホンジュラス、コスタリカなどコーヒーの生産国として有名な国が多数ありますが、その中の1つです。

パナマの面積は約7万5千㎢であり、日本でいうと北海道くらいの大きさです。人口は約300万人であり、日本の1/40と小さな国となっています。歴史的にはスペインから植民地支配を受けており、1821年に独立しました。

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小国のパナマなのですが “パナマ運河”はよく知られています。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸はつながっており、船で横断することができないので大きく迂回する必要があります。しかしこのパナマ運河を使えば船が大陸を横断することができ、地理的にとても重要な運河となっています。

パナマの主な輸出品は、船舶、金属くずなどの工業製品が多いですが、農産物ではコーヒーが主要な位置をしめており、コーヒーの生産がパナマの経済に与える影響はとても大きいです。

参照記事
アンティグアなどグアテマラ産コーヒー豆の特徴について

パナマ産コーヒーの栽培方法

パナマでコーヒーの栽培が始まったのは中央アメリカの中では実は最も遅く、1870年〜1890年頃から、パナマの西側にあるチリキ県のボケテ地区というところで栽培が始まりました。

歴史的には浅いものの、パナマはコーヒーを栽培するのに最適な環境をそろえています。アラビカ種のコーヒーは基本的に標高の高いエリアで栽培されるのですが、パナマは国土の80%が山岳地帯であり、アラビカ種コーヒーの栽培は標高1,500m~1,700mのエリアで主に行われています。

この標高の高さが、昼と夜の寒暖差を生み出して、身の引き締まった美味しいコーヒー豆の栽培を可能にします。一方で、品質の低いロブスタ種の生産も行われており、それらは標高1,000m以下のエリアにてパナマ国内で消費するために栽培されています。

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またパナマは赤道近くに位置しており熱帯エリアの国です。そのために雨季があると同時に乾季もしっかりとしており、雨季と乾季の両方が必要なコーヒーの栽培に適しています。さらに霧が発生するために気温が暑くなりすぎることを防いで快適な温度を生み出しています。

パナマ産コーヒーの栽培は、主にコーヒーの栽培が始まった西側のチリキ県のボケテ地区で行われていますが、ここはバル火山という火山の近くです。そのために土壌は火山灰性のものとなっており、ミネラル分を豊富に含んだ豊かな土壌になっています。

参照記事
コーヒー豆の産地と栽培条件の特徴について【保存版】

美味しいコーヒーを栽培するには数多くの気候条件があり、環境的な制約が多いのですが、パナマはそれらの条件をクリアしている数少ない国の1つであり、この恵まれた環境で美味しいコーヒー豆の栽培が行われています。

それらのコーヒーは農薬を使わずに手摘みで収穫されることが多く丁寧に加工されていきます。もともと小さな国なので年間のコーヒー豆の生産量は約7,000kgと生産量の世界ランクも20位〜30位をさまよっています。

しかし、生産量がそこまで多くないにも関わらず、“ゲイシャ”を始めとするスペシャルティコーヒーの登場によって、パナマ産のコーヒー豆は世界的に大きな注目を集めることになりました。

ゲイシャ種とは何か

ゲイシャコーヒーの歴史

「ゲイシャ」という日本人から見るとユニークな名前ですが、この名前の由来はエチオピアにある「ゲシャ(Gesha)」という村の名前です。この村で栽培されていたコーヒーの品種を移植して栽培していることからゲイシャと呼ばれるようになりました。

エチオピアはもともとコーヒーの発祥の地であり、コーヒー栽培に関しては多くのノウハウを持っています。そんなエチオピアのコーヒーはまずパナマの隣国であるコスタリカに移植されました。

そしてコスタリカを経て1963年にパナマで最もコーヒーの栽培が盛んなチリキ県ボケテ地区に初のゲイシャコーヒーが移植されました。

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エスメラルダ農園による栽培

ゲイシャコーヒーがそもそも移植された当初の理由は、美味しいからではなく病気に強いからでした。コーヒーを栽培していく上で最も避けなければならないのは病気によるコーヒーの全滅です。

どれだけ手塩にかけてコーヒーを栽培しても、それが病気で全滅してしまったのでは意味がありません。特にコーヒーには「さび病」という病気があり、1本のコーヒーノキがさび病にかかると、インフルエンザのように周りのコーヒーノキも集団でさび病にかかってしまいます。

ゲイシャ種はこのさび病に強いためにパナマに導入されたのですが、さび病に強いゲイシャ種を作るには標高の高さが必要であるなど条件が必要でした。また、ゲイシャ種はコーヒーノキの高さが普通のティピカ種やブルボン種に比べて2倍近くになり、とても背の高いコーヒーノキになります。

コーヒーノキの背が高くなればその分、栽培や収穫が大変になります。他にも、一本のコーヒーノキから取れるコーヒーチェリーの量が少ないなど、栽培する上で様々なデメリットがゲイシャ種にはあったために、多くのコーヒー農家はゲイシャ種の栽培を行いませんでした。

しかし、「エスメラルダ農園」というコーヒー農園は、ゲイシャ種のコーヒー豆を焙煎してみて飲んでみたところその味がかなり美味しいことに気づいて、他のコーヒー農家がゲイシャ種の栽培を止める中、ゲイシャ種の栽培に乗り出して栽培に成功しました。

参照記事
モカシダモなどエチオピア産コーヒー豆の特徴-コーヒー発祥の地

カップオブエクセレンス(Cup of Excellence)での受賞

ゲイシャ種の運命を変えて世界中から注目を集めるきっかけとなったのは、カップオブエクセレンス(Cup of Excellence)というコーヒーの大会でした。

従来まではコーヒー豆の品質のランク付けをする際に、コーヒー豆の味に注目することは少なく、産地はどこの国でどれくらいの標高の高さで採れたコーヒー豆なのかで品質のランクを決めたり、どれくらいのコーヒー豆粒の大きさなのかでランクを決めたりしてました。

しかし、最近になってコーヒー豆がどの国のどの農園で採れたものであり、味はどうかまで注目してランク付けをする流れになりつつあり、それを行っているのがカップオブエクセレンス(Cup of Excellence)というコーヒーの大会です。

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このカップオブエクセレンスの2004年の大会に先ほどのエスメラルダ農園が出品して、見事に1位を獲得しました。カップオブエクセレンスで受賞したコーヒー農家はコーヒー豆をオンラインオークションで売ることができるのですが、ゲイシャ種は1ポンド(約0.5kg)あたり$21(約2,000円)という破格の値段で落札されました。

普通のアラビカ種のコーヒー豆の値段が1ポンドあたり約150円ですので、いかにゲイシャ種のコーヒー豆が高い評価を受けているのかが分かります。

その後も2004年から2007年に至るまでなんと4年連続でゲイシャ種はカップオブエクセレンスの大会で優勝をおさめて、圧倒的な人気を誇り続けました。あまりにも強すぎるために他のコーヒー農家から苦情が出て、カップオブエクセレンスの出場ができなくなるほどの人気ぶりでした。

カップオブエクセレンスで何年も連続で優勝して、強すぎるために他の参加者から無理やり大会に出れなくされるほどの評価を受けるほど美味しいコーヒー豆であるゲイシャ種はコーヒー業界に衝撃を与え、瞬く間に世界中に広がりました。

参照記事
カップ・オブ・エクセレンスとはコーヒー業界のアカデミー賞

ゲイシャ種コーヒーの味

そんな世界から人気を集めるゲイシャ種のコーヒーの味をひとことで言うと、とにかくフルーティーです。酸味は意外にも控えめでスッキリとしています。コクも控えめで、透明感があるコーヒーになります。

そのフルーティーさから「ゲイシャはコーヒーというよりも紅茶に近い」と表現する専門家がいるくらいです。この表現のようにゲイシャは独特なコーヒーであり、従来のコーヒーの表現方法でその風味をうまく表現できないので、「ゲイシャフレーバー」という単語も生まれました。

パナマ産コーヒーの味と等級

世界的に評価の高いゲイシャ種コーヒーを説明してきましたが、パナマにはゲイシャ以外にも美味しいコーヒー豆が数多く存在します。

一般的にパナマ産コーヒー豆の味は、酸味と苦味のバランスがしっかりと取れていて、比較的にあっさりしていると言われています。香りも甘く、他の人気な中央アメリカ産のコーヒーに負けないほどの美味しさと言われています。

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また、パナマ産のコーヒー豆の等級は栽培されるコーヒー豆の標高の高さによってランク分けされます。標高の高さに応じて3段階で評価されており、標高1,350m以上で栽培されたコーヒー豆はSHB(ストリクトリー・ハード・ビーン)、標高1,050m~1,350mで栽培されたコーヒー豆はHB(ハード・ビーン)、標高900m~1,050mで栽培されたコーヒー豆はEPW(エクストラ・プライム・ウォッシュド)と呼ばれています。

ゲイシャで世界的な大ブームを起こしているパナマ産のコーヒー豆ですが、カップオブエクセレンスの大会で連続優勝しているだけあり、その実力は世界レベルで誰もが認めています。そんな世界レベルのコーヒーを是非1度は飲んでみたいものですね。

参照記事
コーヒーには尿酸値を下げて痛風を予防する効果がある

 
 

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